HISTORY OF LEATHER先ずは革の歴史から
人類と革の歴史は非常に長く、50万年前から防寒や保護のために使われてきました。食料として食べる牛肉の残った皮を乾かして身にまとったのがはじまりです。その構図は、現在でもなんら変わりはありません。その残った皮を「なめし」という加工をすることで、より優れた現在の革ができました。
「皮」と「革」の違い
「皮」とは、一般的に動物の皮膚をそのまま剥いで、何も加工していない天然のものを「皮」と呼びます。
英語では、
成牛の皮や馬の皮などの25ポンド以上ある大きな皮は「hide(ハイド)」
小牛の皮や羊の皮のように小さな皮は「skin(スキン)」
革はレザー(leather)
元々生えていた体毛まで利用するものは「毛皮(fur)」
と区別します。
「革(leather)」とは、古くは「つくりかわ」と読んでいました。動物の皮はそのまま放置すると、固くなったり腐敗してしまうため、これらを防ぐために皮をやわらかくしたり腐敗しないように長期的に使用できるように加工します。この加工を鞣し(なめし)といい、なめした皮のことを「革」と呼びます。
STINGRAYスティングレイ(ガルーシャ) / 海鷂魚(エイ)について
革の特徴
エイ革の銀面(表面)には、細かな粒が並んでいます。主成分は「皮歯(ひし)」と呼ばれる人間の骨や歯と同じリン酸カルシウムでできているため、非常に硬くガラスのような光沢が特徴的です。
背中の中心部分には、「スターマーク」と呼ばれる白い斑点が並んでおり、一匹に一箇所しかないためこの部分を目立たせるデザインが好まれます。海外では、古くから幸福の魚「ラッキーフィッシュ」として重宝され、泳ぐ宝石とも言われており、「天眼」つまり「神の目」と崇められてきたのです。好みですがこの部分を入れるかどうか?通常はこのスターマーク全体を正面1面に持っていくstyleが定番ですが、大きすぎる白が強いスターマークはカジュアルテイストが強すぎるのと、また私個人的に普通定番が嫌いで面白くないので、弊店はオリジナルな入れ方デザインをしています。詳しくはオーダー時に相談ください。センス良く仕上げます。
【革の用途】革の強度が非常にあり、傷も付きにくく手入れも特に必要がなくまた、水濡れにも強いため、装飾芸術や様々な家具・工芸・ハンドバッグ・財布・ベルト・バングル・ドレスシューズ、高級時計ベルトや多くのアクセサリーなどで使われています。あまり知られていませんが、日本人にはなじみ深い素材と言えます。丁寧に扱えば100年持つと言われています。因に牛革は30年と言われています。
「ガルーシャ」の由来
18世紀のフランスで、鞘(さや/刀身の刃部を保護するための外装)作りで有名な革職人だったジャン クロード ガルーシャ(Jean-Claude Galuchat)は、その加工技術を鞘以外にも使い始め、エイ革で作られなかった様々な小物類などをエイ革で作りました。これらの小物類装飾品の数々が大変魅力的で当時のフランス国王ルイ15世の目にとまり、ジャン クロード ガルーシャは国王と側近のために、その腕をふるったわけです。 ヨーロッパでは、この偉大なエイ革職人の名を取って、エイ革を「ガルーシャ(Galuchat)」と呼ぶ様になったのです。また、「シャグリーン(Shagreen)」(英語で粒起皮・鮫皮と言う意味)とも呼ばれていました。
その他の話し
エイは、サメに近い仲間です。エイもサメも”軟骨魚類”として分類上に位置づけられますが、もともとはサメが海底でも住める様に進化したのが、エイと言われています。
エイとサメとの決定的な違いは、サメでは頭部後方側面に開く鰓裂(えらの穴)が、エイでは腹面に開く事。また背面・眼の後ろに水の取り込み口が開く事です。鰓裂もサメが左右7つに対して、エイは5~6つです。一部”サメ”の名をかたる”タカタザメ”と言うエイもいるので、区別をするには鰓裂が決定的です。
このエイ、韓国では”ホンオフェ”(韓国語で、ホンオはエイ。フェは刺身)と言う食材で、韓国南西部にある全羅南道地方でよく賞味されていますが、エイの体内は(サメと同様に)尿素を体液の浸透圧調整に用いているため、その組織には尿素が蓄積されており、鮮度が下がるとこれが加水分解してアンモニアを生じ、そのため大変臭い上に、食べたら涙必至。ひどい時には気絶すると言う、とんでもない発酵食品(臭さは納豆の3000倍)ですが、現地では大変な高級食材で全羅南道の結婚式では、このホンオフェがどれだけ出たかで、結婚式の格が決まると言う位に大変な高級食材です。
また広島県の山間部ではサメ食同様に、エイ食も行われているそうです。
ファッションでは、ブラックダイヤモンドを先駆けて使用して急速に有名になったスイスの高級ジュエリーブランドde GRISOGONO(ドゥ グリソゴノ)は、2000年から腕時計のジャンルにも乗り出し、当時まだ時計界であまり知られていなかったエイ革を時計のベルトに採用など、ファッション最先端でも美しい高級品と言われ、最近ではCHANEL,LOUIS VUITTON, GIORGIO ARMANI、FRANCK MULLERなどのハイブランドにも使用される様になりました。
エイ革はその美しさ、耐久性により長い間数世紀にわたり利用されて来ました。実際に、日本でも刀の装飾・外飾(刀の柄の部分など)に使われたり、兜に使用した歴史があり、800年以上も前のエイ革製品が今でも立派に残っているのです。更に、ヨーロッパやアメリカでも、刀や短剣等に使うと言う事は大変な人気で広く使われていたそうです。